百瀬こっちを向いて

通勤中にiBooksで中田永一の「百瀬こっちを向いて」を読んだ。

書店の店頭で、映画の広告と文庫本の表紙デザインが目にとまり、気になっていた。家に帰って調べてみると、もともとは、男性作家の恋愛小説を集めたアンソロジー「I LOVE YOU」に提供された小品だったが、のちに同名タイトルの短篇集としてリリースされたものらしい。iBooksで調べてみたら残念ながら文庫本版はなかったが、「I LOVE YOU」版が単品で販売されていた。

男性作家の恋愛小説とは初めて。いや、恋愛小説自体、初めて読むかもしれないなと思いながら読み進めてみたが、とても面白かった。

ベタな表現かもしれないけど、青春時代の恋愛って甘酸っぱい。主人公は自分が冴えない男子と自覚しているものだから、「恋愛なんか出来るわけない」と恋愛に対するコンプレックスが相当あるんだけど、憧れたり、悩んだりして、その純情な姿にちょっとだけシンパシー。

ストーリーはちょっと重たいのかと思っていたけど、そんなことはなく、読後は爽やかな幸福感に包まれる。中田永一の他作品も読んでみたくなった。